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2013年10月23日

「農的暮らしのグラウンドデザイン」

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稲刈りをしていると、時々誰かが手伝いに来てくれます。
一人でいろいろと物思いに耽りながらの稲刈りも、それはそれで楽しいのだけれど、
気心の知れた仲間と、ぽつりぽつり話しながら手作業をこなすのも、
それはちょっと格別な時間です。

台風が来る前に、腰砕けのコシヒカリと早生のモチ米だけは干してしまいたかったのですが、
雨が降り始めた昼過ぎになって、ようやく全部干し終えることができました。
シトシト降る雨が気持ちよかった。

今週は台風の影響で後はずっと雨みたいだから、稲刈りはちょっとひと休み。
いい具合に熟れた太郎のキヌムスメ。
刈ってしまうのが惜しいくらい、葉や茎がきれいな黄緑色に染まっています。

 
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パーマカルチャーって、ちょっと変な宗教かなんかだと勝手に思っていて、
これまであまり近づかないでいたのだけれど、
この間、ビル・モリソン著「パーマカルチャー - 農的暮らしの永久デザイン」を
読んでみました。

それはとてもまっとうな考え方で、たいへんよくわかる内容でした。

つまり、自然から得られるもの(衣食住に関わる第一次生産業)を、
利潤追求のための商品とみなすことで、いろんな問題が起こってきました。
生産と流通の規模が拡大することによって、
膨大なエネルギーが消費され、原発が建ち、再生不能な石油系製品が溢れ、
排水や廃棄物で土地や山林、河川、海は回復不能なほど荒廃し、
絶えず新たな化学物質によって、自然も人も汚染され続けてきました。

そう、1960年代にビル・モリソンがオーストラリアで市民運動をしていた時代と、
半世紀が過ぎた今も、世界は何にも変わっちゃいないのです。

ビル・モリソンには、ある日わかってしまいました。
「もう反対運動のためにムダな時間を費やすことはしたくない。」

それを機に、
自分の家から、庭から、畑から、
まず自分から、自然と共存する新たな暮らしをスタートさせることにしました。


「起こっている現象に手を出すのではなく、根本を問い直す在り方。」
自然農と同じ捉え方です。


そのノウハウの集大成が「パーマカルチャー」という言葉になっています。
アジアの農村の暮らしからヒントを得たということで、
本の中には、あの福岡さんの粘土団子が紹介されたりしています。


アジアに生まれてよかったですね。
答えは足元にありました。
日本でもちょっと昔の農民は、とてもパーマカルチャー的な暮らしぶりでした。

***
まず私たちがエネルギーを浪費する生活を変えること。
そこから共存できる自然の回復をはかる。
そのために必要な総合的な知識と暮らしの智慧を体系化し、共有する。
***
食べるもの、着るもの、住むところ、エネルギー。
それらの自給体制を、できるところから整えていく。
***
石油系製品を極力使わないようにする。
新たな消費を控え、不要物の再利用に配慮する。
シェアできるものはシェアし、余剰は分かちあう。
***


自分の家から、庭から、田畑から、
といっても、何から何まで自分たちだけでまかなうのはちょっと無理だし、
自給自足を基本的な生活スタイルとして、
自律した人たちが、互いに心地よく暮らせる持続可能な地域社会がいい。

仲間がたくさんいればシェアもできるし、対話もできるし、楽しい。

「農的暮らしのグラウンドデザイン」として、
そういう地域社会を実現するためのアイデアを、ちょっと練っています。(・・・続く)