「住環境インフラ」 - 家と水とエネルギー
いま蕎麦畑が可憐な白の花盛りです。
蒔く時期が遅かったので、霜が降りる前に何とか実をつけなくっちゃと、
もう背丈はいいから、急いで花を咲かせているようです。
さて、食う寝る処に住む処。
都会の住宅事情じゃ、アパートやマンションの賃貸にしたってすごく高い。
土地を買って家を建てたりしようものなら、
そのためにローンを組んで、元利の返済に一生を棒に振らなくちゃいけない。
その点、過疎の田舎なら、
ちょっと修理をすれば使える、しゃれた古民家や空き家がたくさんあるし、
誰も使わなくなった安い土地に、自分で家を建てることだってできる。
住環境というのは、もちろん家だけの話じゃなくて、
家から一歩出れば、庭があり、井戸や洗い場があり、
家のまわりには、物置き、納屋、作業小屋、家畜小屋。
近くの畑、果樹、遠くの畑、田圃。
裏山、谷川、放牧場、など、いくらでも広げることができます。
水だって、わざわざ塩素入りの上水道にお金を払わなくても、
井戸や湧き水や山水が使えたりする。
薪や炭を利用し、ちょっとした自然エネルギーを自分たちで作り出せば、
高いガスや電気もほとんど使わなくて済む。
そんな風に、より快適で持続可能な生活空間をイメージすれば、
どんどん可能性を広げていくことができます。
だいたい、食う寝る処に住む処。
自分のことなのに、いったい自分では何にも作らない、何にも作れない。
何から何まで、他人まかせにして、結局お金で済ませる。
それは都会では当たり前のことだけれど、
ちょっと冷静に考えると、何だか哀れな姿に思えてきます。
「お金なんか」と思いながら、
「でも、お金がないと暮らせない」から、
と自分に言い聞かせ、日々お金を稼いで、日々それを消費する。
結局、死ぬまでお金から逃れられない「お金の奴隷的生活」に陥ってしまう。
そうして、そんなストレスを解消するのもお金だからね。
そんな毎日を繰り返しているから、
どこで自分の食べるものが作られているのやら、何から作られているのやら、
どんどん生産現場や、物事の道理や人の気持が見えなく、わからなくなってしまう。
しかしまぁ、
だからといって、何から何まで自分でやれるわけじゃありません。
それでもせめて、基本的な生活インフラに関することだけは、
どういう理屈で、何を使えばそれがそんな風にできるのかは知っておきたいし、
いざという時には、自分でそれがそんな風にできる技術やノウハウは、
ちゃんと身につけておきたいと思うのです。
じゃ、お金を稼いで消費するだけの暮らしじゃなくて、
できるだけお金を使わないで、自然にあるものを循環させる暮らし、
そのための住環境インフラを整えるには、いったい何が必要なんだろう。
■住環境に関する技術とノウハウ
やっぱり、家を作ったり、家具を作ったり、修理をしたりするのには、
・大工、左官の技術が不可欠です。
もちろん、それ以前に切り出した丸太の扱いや製材の仕方、素材の知識など、
覚えなくちゃいけないことが限りなくあり、どれもこれも奥が深い。
また、家具や食器を作ったりするには、木工や陶芸の技術も必要になる。
・山林や水利の知識とノウハウ、
木を切り出したり、植樹したり、山林をどう扱うか、水をどこからどう引いてくるか、
それはとても重要な事だけれど、あまりにも何も知らなさすぎる。
・エネルギー設備と技術
(薪、炭、太陽、風、水、余熱、雨水、排泄物、他)
薪や炭(炭焼きの技術)を使った、煮炊き、暖房のための窯やオーブン、ストーブ。
太陽、風、水を使った自家発電。
余熱や雨水、排泄物(コンポストトイレ等)の循環の仕組み。
■生活インフラ特定物品をつくるための設備と場所
もちろん、一人でやるよりみんなでやる方が楽しい。
何かを作るのだって、場所も必要だし、工具や何やかや自分で全部揃えるのはたいへん。
だから、場所と機械や道具は、みんなでシェアするのがいい。
その中で、技術やノウハウだって互いに共有し合うことができる。
・食品加工場では、搾油機、製粉機や大きな釜、なべ等。
・衣類生産場では、糸紡ぎ、織機やミシン、染用道具等。
・木材加工場では、製材機、その他木工用工具一式。
・炭焼き窯、陶器窯、等。
・その他共同作業場
そういったものを、
これから創る住環境の中にしっかり組み込んでいきたいと思うけれど、
どれもこれも、実際に自分の環境で作って、試してみないとわからない。
そう考えると、いくら時間があっても足りない。
思うように木を植えたとしても、それが育つまでには10年、20年とかかります。
自然農の田畑だって、10年、20年でようやくいい状態になる。
もっと早くこれに気づいてやっていればよかった。
よく、定年退職してから田舎で悠々自適などという人もいますが、
馬鹿を言っちゃいけない。
気力も体力も衰えてから、新築のオール電化の家で、
年金頼みで田舎暮らしを満喫するなど、愚の骨頂にしか思えません。
せめて身体がしゃんと動く30代の頃から、そういう暮らしを始めたかった。
しかしまぁ、人生に遅すぎることはありません。
早くても遅くても、気づいた時が自分のスタート地点です。
今からでもやれることを、やれるだけやっていこうと思っています。(・・・続く)