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2012年12月 5日

ライ麦100%全粒粉パン

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ライ麦は、もう4年ほど前から育てているのだけれど、
これまでちゃんとしたライ麦パンというのを作ったことがなかった。
ちゃんとしたライ麦パンってのは、
ライ麦全粒粉100%の、あの黒っぽくて酸っぱくて重たいヤツ。

ライ麦は、小麦粉と同じようにはパンが焼けなくて、
アミラーゼ(酵素)の働きを乳酸菌で抑えてやる必要があるのだそうです。
自然酵母と乳酸菌の入った「ザワータイク(サワー種)」というのを使います。
だから酸っぱいわけだ。

この、ザワータイク。
ライ麦と水と少しのヨーグルト(乳酸菌)を混ぜておくと、
粉についていた酵母や大気中の酵母が入って発酵が始まります。
これに、何段階かで水と粉を継ぎ足していくと、
乳酸菌に他の菌が抑えられて、酸味と発酵力のあるザワータイクができあがります。
しかし、この種起こしが何日もかかる作業なんですね。

袋に入ったサワー種というのも、製パン材料専門店には売られているようですが、
ここら辺りじゃ、まず絶対に手に入らないでしょう。

仕方がない、作るか。

 
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ザワータイクの初種起こし。
培養の一定温度が、23℃って書いてあったり、26℃って書いてあったり、
麹や納豆菌と違って、乳酸菌はちょっと低い温度なんですね。
湯たんぽはないし、コタツを4日も5日もつけっぱなしにしておくのも何だしね。

と、いうことで、まずは簡易ホイロ作り。

よく、段ボール箱に裸電球を差し込んでいるのがあるけれど、
それじゃ、ちょっと温度が上がりすぎるからと思って、
蛍光灯タイプの電球にしてみました。8Wで省エネだし。
LED電球もあったのですが、これは発熱しないらしい。
LEDに取り換えた信号が、雪国では貼り付いた雪が溶けなくなって困るとか。
なるほどね。

 
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最初はちょっと大きめの段ボール箱で簡単に作っていました。
でも、昼間は23℃がキープできても、夜に冷え込むと温度が下がってしまうことが判明。
箱を切り詰めて、内部に発砲スチールを貼って保温できるものに改良。
これで、23℃~26℃をキープできるようになりました。

 
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最初、50gのライ麦全粒粉と40gのぬるま湯、小匙4分の1のヨーグルトを小瓶に入れて、
簡易ホイロで24時間。

翌日は、これに50gのライ麦全粒粉と45gのぬるま湯を追加して、24時間。

その翌日は、ここから20gだけ取ったものに、
50gのライ麦全粒粉と40gのぬるま湯で24時間。

そのまた翌日には、そこから20gだけ取ったものに、
50gのライ麦全粒粉と40gのぬるま湯で、今度は5時間。

それからさらに、そこから10gだけ取ったものに、
60gのライ麦全粒粉と今度は50gの水で、12時間。

 
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そうして仕上げは、
そこに150gのライ麦全粒粉と190gのぬるま湯を加えて、2時間半。
これでようやく「フォルザワー(ザワータイク)」が完成しました。

結構、手間のかかるものです。

そうして、いよいよパン焼き準備。

このザワータイク345gに、240gのライ麦全粒粉と100gの水、
少しの砂糖(蜂蜜)15gと塩8gを加えて、10分間捏ねて10分間休ませ、
発酵に1時間半。
フェンネルやキャラウェイを少し入れればいいのですが、ないので省略。

ライ麦の打ち粉を振って、オーブンで230℃~200℃で約50分。

 
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出来上がりは、こんな感じです。
外はガッシリで中はしっとり。ちょっと酸っぱくて、しっかりと重い。
半分も食べれば、もうお腹いっぱいになります。

そう、こんな感じでした。
都会のスーパーなんかに、これを薄く切って真空パックしたヤツが売っていました。
ネットリとした不思議な食感で、結構高価だったような気がします。

おいしいかと言われれば、
うーん、毎食これをバクバク食べるようなものじゃないですが、
白パンの中に、たまにこれが一切れ二切れあれば、すごくリッチですよね。

きっと忘れた頃になって、
「あー、久しぶりにあれが食べてみたいね。」と思えるようなものかもしれません。

そんな、ライ麦100%全粒粉パンでありました。