かたゆきかんこ
雪がすっかり凍って大理石よりも堅くなり、
空も冷たい滑らかな青い石の板で出来ているらしいのです。
「堅雪かんこ、しみ雪しんこ。」
お日様がまっ白に燃えて百合の匂いを撒きちらし又雪をぎらぎら照らしました。
木なんかみんなザラメを掛けたように霜でぴかぴかしています。
「堅雪かんこ、凍み雪しんこ。」
四郎とかん子とは小さな雪沓をはいてキックキックキック、野原に出ました。
宮沢賢治の「雪渡り」。
かたゆきかんこ、しみゆきしんこ。
新雪を踏みしめる時の、キュッツ、キュッツが、
どこかこそばゆくて、いいですね。
太郎をねむらせ、太郎の屋根に雪ふりつむ。
二郎をねむらせ、二郎の屋根に雪ふりつむ。
三好達治の「雪」。
しんしんと雪が降ると、いつもそれとこれが口から出てきます。
雪国じゃないからね。
たまの雪をそんな風に楽しむことができます。
土間の壁際の柱が反って割れてきていたのでした。
これ以上、割れが広がってもいけないからと、
ちょっと補修しておこうと思ったのです。
そして、元大工の友人に頼んで切開してもらったところ、
なんと、こんな在り様でした。
シロアリに喰われて、もう乾いたスポンジのような状態。
それが横木とも、髄までボロボロになっているのでした。
古民家はこれだから恐ろしい。
幸いにも荷重は他の柱に分散されているようなので、
これ一本ぐらいさほど影響はないようです。
今のところ。
だから見なかったことにして、体裁よく埋めることにしました。
くわばら、くわばら。