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2011年10月29日

国が責任を持ってやる

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およそ何かの責任を取るなんてこと、
ひょっとしたら誰にもできないのかも知れない。
どうやって責任を取るのか。
結局、お金ですか。誠意ですか。死んでお詫びができるのですか。

誰も責任を取らない体質というのは、
本当に腹がたつけれど、
それも突き詰めて考えれば、
人としてのけじめとか、誠実さとか、潔さとか、
ただそういうことを求めているだけなのかも知れない、と思ったり。


現在、長野県の松本市長をやっている、菅谷 昭(すげのや あきら )さんは、
元医師で、チェルノブイリの原発事故の際に、ベラルーシの国立甲状腺ガンセンター
で医療支援活動を行なってきた方です。

この方の講演がUstreamに上がっていました。


菅谷さんは、25年前のチェルノブイリの原発事故が、
今なお現在進行形であり、これから何が起こるかわからないと言います。
そして、低線量の内部被曝の恐ろしさを具体的な事例で挙げています。

子供の免疫機能の低下は「チェルノブイリエイズ」と呼ばれるのだそうです。
肥田先生の言う「ぶらぶら病」ですね。

症状としては、
  -風邪をひきやすい。ぶりかえす、長引く。抵抗力が落ちる。
  -呼吸器感染にかかりやすい。
  -貧血
  -異常に疲れやすくなる(学校の授業も短縮せざるをえない)。

それから、早産や未熟児、低出生体重児が増える(子宮内の胎児の発育遅延)。
また、先天性異常の増加。
ベラルーシでは、強制的な出生前診断で人工的妊娠中絶を行なっている
のだそうです。

セシウムは排泄されるといわれますが、
低線量の被曝地帯で生活していると、生体濃縮された食物を摂取することになり、
セシウムが絶えず体内に入ってくる状態にあるために、
体内蓄積が進むのだそうです。

「せめて子供と妊産婦の生命だけは守っていかなくてはいけない。
 行政に頼らず、一人ひとりが考えて、最後は自分で守るしかない」
それが菅谷さんの結論です。


当初は「除染」の必要はない、と言っていた国が、
最近は「責任を持って除染する」と言い始めました。

菅谷さんは、「除染」は実際には難しいと言います。
「チェルノブイリでは表土を20cm取ったが、今でも人は住めない状況である。
日本ではせいぜい5~10cm。また、平地は除染しても山林はどうしようもない。
たいへんな費用をかけて除染しても、効果がなかったということにならないか」


そうだよね、と思っていたら、こんなブログがありました。

toriiyoshiki's Blog
http://toriiyoshiki.blogspot.com/2011/10/blog-post_22.html

ちょうど、明日10/30(日)放送のETV特集「果てしなき除染 ~南相馬市からの報告~」
の番組プロデューサーのブログです。
あたしゃ、テレビがないから見れないけど。

いわく、

===
住民が安心して暮らしていくためには、(あるいは避難している住民...特に子供た
ちが戻ってくるためには)徹底した周辺環境の除染が必要だが、高圧洗浄程度では
期待するほどの効果が上がらないことがだんだん明らかになってきているのである。

特に山沿いの地域、屋敷林のある家などでは、洗っても洗っても木々から飛んでき
た放射性物質で元の木阿弥になる。まるでざるで水を汲むようなことになりかねな
いのである。

にも拘らず、数兆円規模の資金が投入される「除染」は、ゼネコンなどの企業にとっ
ては新たなビジネスチャンスであり、巨大公共事業として旧来の利権構造に組み
込まれかねない側面がある。

何が一番住民にとって利益になるのか充分検証されないまま、本当に効果的かど
うかも判らない「除染」という既成事実だけがどんどん推し進められていく可能性が
出てきている。
ダムや、それこそ原発の建設が止まらなかったのと同じ構造である。
===

なんと、
「国が責任を持ってやる」と言うウラには、こういうカラクリがあったのね。
なんというか、本当に懲りないヤツらです。

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