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2009年11月30日

冬時間

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ほら、唐辛子が1本だけ赤くなった。

もう、12月だからね。冬場はあまり人も動かないし。
このあたりは、12月から春まで休業するお店も多い。

ウチは休んでも仕方ないので、これまでずっと開けていたのですが、
今年はちょっと「冬時間」をしてみることにしました。

1週間が7日なので、半分で割り切れない。
だから、4日か3日。
何だか、朝三暮四みたいだなぁ。

猿を飼っていた老人が、餌が足りなくなってきたんで、
「今日から、どんぐりを朝に3つ、夕方に4つにする」と宣言すると、
猿たちがブーブー怒ったんだよね。

「わかった。それなら特別に、朝4つ、夕方3つにしてやろう」と言うと、
猿たちは、やんややんやで大喜び。まぁ、世の中はそんなもんでしょう。

それで、3日営業して、4日休むか、4日営業して3日休むかと考えたのですが、
やっぱり、平日でないと来にくい人もいるだろうし、
月曜日に休んだりすると、理髪系にお勤めの方はやっぱり来れないし、
そう思って、月曜日と金・土・日の4日、営業することにしました。
日本人は勤勉です。

かといって、火・水・木は店で寝てるのかというと、そうでもなくて、
火・水・木は、田圃に出て働こうと決めたのです。
まだ、田圃の溝も全部掘れてないし、やり残している仕事がだいぶ残ってるしね。


 
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秋ジャガをまだ掘ってないし、
来春に向けて畑の畝作りをしておきたいのですが、
大豆を収穫してからと思っていると、
この大豆がなかなか熟さないし、葉も落ちないんだよね。
だいぶ晩生の種だったのか、それともやっぱり天候のせいか。
なかなかうまくいきません。

だから、火・水・木は、たぶん田畑に出ています。

でも、雨が降ったらこれはどうしようもない。
そんな時にカフェに行こうかなと思い立ったら、ぜひご連絡ください。
その時だけ、あなたのためにオープンします。
ストーブつけて暖かくして待ってます。


 
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そうそう、ストーブと言えば、
先日、知り合いのところに行ったら、4、50万はするという
でっかい薪ストーブが据えてありました。

もちろん大きな丸太がそのまま入るヤツで、
二次燃焼とかの仕組みになっていて、灰下の引き出しで焼きイモも焼けるし、
たくさん燃やしたら、真冬でも窓を開けないと熱くてしようがないのだと、
豪語するのです。

いいなぁ。
ウチのストーブはちっちゃいけれど、ガンガン燃えて、愛らしくて、
間近でそれを囲んでいると、とても幸せな気分になれるのだけれど、
如何せん、2m離れると、真冬は寒い。

熱しやすく、すぐ冷える。
それに薪の取り入れ口が小さいので、
せっかく大きな木をもらっても、切ったり割ったりが結構たいへんなのだ。
いやいや、そんな贅沢言っちゃいかんのですが。

昨日もがんばって3、40cmの丸太を割っていたのですが、
久し振りに大きな斧で力いっぱいやってると、
何だか普段使わない筋肉を使うみたいで、
あちこちの毛細血管がぶちぶち切れてきたような気がして、
そこそこで切り上げたのでした。

そんなことで、3、40cm程度の木ならそのまま入れられるような、
そこそこの大きさの薪ストーブが欲しい!
そう、強く思ったのでした。

誰か、納屋で眠っている薪ストーブがあるでしょ。
3、40cmの丸太が入るちょうど手頃なヤツ。
それそれ、たぶんもう使わないでしょうから、それを私に譲ってください。
 

2009年11月26日

親子で日向ぼっこ。

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この2、3日、昼間はぽかぽかといい天気が続いています。
為山塾のこわれかけた縁側に、猫の親子がひなたぼっこ。
一番左にいるのが猫の母さん。

母さんは、もう何匹子どもを産んだんだろうな。
彼女は賢くてとてもきれいだから、たぶんよくもてるんです。
だから、しょっちゅう、お腹が大きい。

子猫はいつもどこか他所で産むので、あまりここに居つくことはないのだけれど、
クロッチ(喉もとに月の輪の白毛がある黒猫)だけは、このあたりを根城にしている。
でも、いかんせんクロッチは母に似ず、ちょっと間抜けなのがタマにキズ。

母さんは、もう何匹めだか忘れるぐらいの子どもたちと、
縁側で日向ぼっこをする。
それは、どんな気持ちなんだろう。

 
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三郎には、木が生えていて、
これはちょっとのこしておこうと思って、この間剪定をした。

とげとげがいっぱいある木で、桜かなぁ、梅じゃないしなぁ、
と思って調べたら、どうも「すもも」ですね。
来年は実がたくさん生ればいいけれど。

すももというのは、自家不和合性といって、一品種では結実しにくいのだそうです。
だから、2種類以上を混植するといいと。
面倒なやつだなぁ。自分で何とかしろよ。

すももといえば、「大石早生」、「メスレー」、「ソルダム」。
メスレーなら、一品種でも結実するそうなのですが、
こいつはいったい何かな。

大石早生なら、6月下旬頃。
メスレーなら7月上旬、ソルダムなら7月中旬頃。
こいつが何だかわからないけど、
もし、実が生らなかったら、ソルダムでも植えてみるか。


 
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これは、こぼれダネの豌豆。
もう、花を咲かせています。
おいおい、いくら暖かいからといって、それじゃ冬を越せないでしょ。

2009年11月24日

猫とそらまめ

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最近は、裏の畑や為山塾の庭を、チビッコの兄弟が走り回っています。
ここをホームグラウンドだと思っているんですね。
まだ、赤ちゃんのような声でミャーミャー鳴くのだけれど、
もう乳離れはしているみたいです。


 
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そらまめの芽が出てきました。
本なんかを見ると、3粒ぐらいの点蒔きにして、2本を残して間引く。
というようなことが書いてあるんですが、
そらまめは種が大きいから、一袋に少ししか入っていないので、
間引くのはもったいないでしょ。

だから、接近しすぎている芽は、根ごと掘って移植したのです。
それで大丈夫みたいですよ。


豆類は土を選ばないでよく育つからいいですね。
ただ、このあたりは風がきついので、大豆もそらまめもすぐに倒れるのです。
支柱を立ててあげないといけないのが、やや面倒ではあります。

自分のことぐらい、自分で何とかしろよ、と言ってやりたい。
それがプレッシャーにならないぐらいには、みんな強くならないとね。

 

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リバーサイドの人参がよく育っています。
間引き人参を集めたら、結構たくさんになる。

これが清冽な香りがして、何ともおいしいんです。
それだけで、とても幸せな気分になります。

田圃にツクシ

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ほら、ツクシが出てるんですよ。
田圃の畦に、結構何本も出ていました。
今は、いったいいつの季節だったかと思いました。

どうしたんでしょう。
昨日、おとといは、確かに昼間はあったかかったけど。
ちょっと、早すぎるでしょ。

草を刈っちゃったから、勘違いしたのかもしれません。


 
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田圃は、あいかわらずまだ溝を掘ってます。
もう少しなんだけどね。
なかなか進みません。

早くしないと12月になっちゃいそうです。
ちょっと頑張ります。


 
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ガキンチョは愛嬌がありますよね。
ウチの敷地に居ついていますが、飼ってるわけじゃない。
のらねこです。
猫は意外と土の上が好きなんですね。
ぽかぽか陽気の日には、よく土の上で丸まっています。

しかし、勝手にさせておくと、
せっかく種を蒔いた後なんかに、糞尿をしたりするんですね。
肥料になっていいと思う人もいるかもしれませんが、
ウチは無肥料・無農薬ですから。

それに何と言っても、
やった後にご丁寧に砂をかけようとして、
せっかく蒔いた種のところを、引っかいて土を起こすのだから始末が悪い。
耕されていいじゃないかと思う人もいるかもしれませんが、
言ってるように、ウチは不耕起ですから。
大きなお世話なんです。

だから、ウチの畑でウンチはするな、と
チビッコたちに、会うたびに言い聞かせているのです。

2009年11月22日

くればよかったのに。

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スーマーさんの2009為山塾ライブ、今年も楽しませてもらいました。
よかったよ。みんなもくればよかったのに。
今年は大田の音楽つながりの若い人たちがたくさん来てくれてね。

 

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カブちゃんも、しょっぱなから上着を脱いじゃうほどの熱いソウルで、
ガンガンいい歌を唄ってくれたのでした。
もちろん屋宜ページのギターは、今日も冴えています。

 

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「前からずっとここに来たかったんだ」といってくれた灰太郎さん。
言葉足らずのステージがとても魅力的でした。


 
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うちのライブは、聞きに来られる方も結構ラフな感じで、
みんな途中で出たり入ったり、
食べたり飲んだりいっぱいして、途中で用事があるからと帰ったり。
まぁ、それでいいんです。

それで、スーマーさんが登場する頃には5時も過ぎるので、
おばさんたちは夕飯の支度に帰るのです。
だからもう、後半はそのまま打ち上げになだれ込むようないきおいで。

これぐらい脱力しているライブが、やっぱり最高でしょう。


 
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夢を語ることのできる若い人たちにも出会えたしね。
今日は、いい日でした。

 

2009年11月19日

為山塾、ライブ!

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宅野西町の石見銀山ロマンカフェからライブコンサートのお知らせです。
今度の日曜日22日、午後2時半から、為山塾でライブコンサートを開きます。

 
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今年で4年目となった恒例の宅野ライブ。
フォーク&ブルースの雰囲気のあるオリジナル曲、
昔のメロディに自作の詩をつけた歌などを唄います。

今年はスーマーさんをはじめ、
横浜や大阪のライブハウスをうならせる面々が、
島根のステージに登場します。


 
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前売り1000円、当日1200円。
会場では暖かいお飲み物やお酒、おでんなどを用意して
皆さまのお越しをお待ちしています。

ぜひぜひ、万障繰り合わせてお越しください。


「スーマー・夢野カブ・屋宜昌登・華村灰太郎 
         MINAS DA PRATA TOUR 2009 in 為山塾」

時 間    2008年11月22日(日) 開演14:30 (開場14:00)
料 金    前売 \1,000 (当日 \1,200)
         ※WEBからのお申込も前売扱いで受け付けます。
          料金は当日会場でお支払いください。
場 所   大田市仁摩町 宅野 古民家"為山塾(いさんじゅく)"

詳細およびお申し込みは以下のホームページで。
http://www.caferoman.com/move/2009_shedu/event09_1122.htm

・・・という原稿を仁摩町有線放送にも流しました。

当日は宅野や大国でも文化祭があるし、
コンサート準備のために「宅野朝市」はお休みにさせていただきます。
当日はカフェもお休みです。

よろしくね。

2009年11月18日

ヤツデノハナガサクコロ

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こんな寒くなってから咲いていたのかなぁ。
白い花がポンポンと咲いて、蜂がぶんぶん飛んで蜜を吸っています。

ヤツデだからって、八枚あるわけじゃなくてね。
小さいのは六枚だったり、七枚だったり、
大きなのなら、だいたい九枚はある。

ひと雨ごとに寒くなるのが道理のようで、
この間からストーブに火を入れて、
昨日、ついに部屋を冬バージョンに衣替えしました。

 

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コタツのある部屋です。

 
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最近は日が暮れるのが早いので、
晴れた日には、3時半にはカフェを閉めて田圃にでかけることにしています。

ゆっくりとコタツにあたりたい方は、それまでにね。

2009年11月16日

戻ってきた斧

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鍛冶屋さんに修理に出していた斧が戻ってきた。
そういえば、手を滑らせて池の中に斧を落としてしまったきこりがいましたね。
で、池の中から出てきた神様が聞くのです。
「お前が失くしたのは、金の斧か、銀の斧か、鉄の斧か」、って。

今、思えば金や銀の斧なんて、柔らかくて木を切ることはできません。
なら、それは換金するということですよね。
きこりが木を切るのをやめて、現金を稼ぎに走ろうとする。

そういうことから、世の中がおかしくなってきたんですよね。
目の前の損得勘定に目がくらんでしまう。
それはどっちが得か、という問題じゃなくて、
木を切ることをやめる、というライフスタイルの選択をそこで迫られているんだ、
ということに気づかなくちゃいけなかったんだ。

あんた、それでもいいのか。

まぁ、人間、偉そうな事を言ってても、
ついつい楽な方に行っちゃうんですけどね。


 
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たぶん初夏頃に種を蒔いた黒田五寸にんじん。
いい感じで育ちました。
葉っぱがね、上から見ると本当に美しく左右対称になっているのです。
で掘ると、つーんと清らかな香りが鼻腔に飛び込んできます。

にんじんは、とってもいいですね。
好きです。


 
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こちらはたまねぎ。
12日の日に苗が全部揃ったので、その日のうちに定植しました。
一番手前の畝が、極早生の四月獲り。
次が中生。その次が味が良いという勧められた晩生こがね。
その次の畝が、これも晩生の代表格、長持ちするというもみじ3号。
その次が、ひと畝、源助ダイコンを蒔いて、最後の畝も、もみじ3号です。

たまねぎがひと畝、50本だから、250本の定植ですね。
ゆったりです。

来年はちゃんと種を採っておいて、
いい土のところで、苗から丁寧に育てようと思っています。
やっぱり、種は自分で採らないといけませんわね。

2009年11月10日

冬支度

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そろそろ今年も薪の準備をしないとなぁ、と思っていました。
切った木を、わざわざ短く揃えて、取っておいてくれた方がおられて、
さっそく友人に軽トラを借りて取りにいきました。
 
この間も別の方に、軽トラひと山程いただいたので、
だいぶストックができました。
これからこれを切ったり割ったりしないといけないのですが、
それよりも、身近にこれだけ木があるというだけで、
何だかとてもリッチな気分になれます。
 
いつも山から大きな木を切り出して、
割りやすいように短く揃えておいてくれる方もいます。
「今年も用意しているからね」と言ってくれます。

こんな風に、人の優しさに支えられて迎える冬は、
最高にあたたかいですね。
やっぱりとてもリッチなんだと思います。

去年、柄が真っ二つに折れてしまったた斧を、鍛冶屋さんに修理に出しました。
柄だけ買ってきて、自分で直せばいいんですけどね。
鍛冶屋さんに頼んで、ちょっと新品のように刃を研いでもらいたかったんです。

 
 


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小麦を蒔きました。
それから、昨日やっと届いた裸麦も蒔きました。

その裸麦を蒔こうと畑に行くと、
何と昨日小麦を蒔いたところの畑にカラスがいて、
その麦をついばんでいるのです。

ばら蒔きした上から、枯れ草をふりまいておいたのだけれど、
ちょっと風ではがれたところから小麦の粒が見えたのでしょうか。
ちきしょー、カラスの奴。
いったい、どれくらい食べたんだろうか。

俺だって、ずっと見張ってるわけにも行かないじゃないか。
まったく、カラスの奴ときたら、
油断もすきもあったもんじゃない。

 

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こちらも、少し空いたスペースに、
思いついてすぐ草を刈り、小麦をばら蒔きにしました。
そうしたら、雨が降ってきた。

 
 

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こちらは、チーナカ豆の松田屋さん。
先日から大工さんが入って、本格的な改修工事が始まっています。
はぐってみると、足元の部分が思った以上に傷んでいたようです。

白蟻にやられて、木がぼろぼろになって、家の重みで沈んでしまっているんですね。
それをジャッキアップして、新しい木を接いでいるのです。
古い柱を新しい柱が接いでいく。それでいいんですね。
それでいいんだ、というのが何だかおもしろい。

 

今日からしばらく、雨の日が続くようです。
木曜日には、中生と晩生のタマネギの苗が入ってくるので、
雨があがった頃に、ちょうど苗を植えることができるかもしれません。

2009年11月 7日

柿すだれ

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今年は柿が不作で吊るし柿にする柿がない、ないと言っていたら、
ない中でもどこかに少しはあるわけで、
そうやって皆さんに持ってきていただいた貴重な柿で、今年もすだれができました。
ドリームズ・カム・トゥルー。
こんな願いならすぐにでも叶う。


 
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庭にさざんかの花が咲きました。
今年は少し早いのかもしれませんね。
いろんなものの調子が狂っています。


 
去年は小麦を6日に蒔いたようなので、今年もそろそろですかね。
リバーサイドのⅢに、今年はばら蒔にきしてみようと思っています。
去年は大麦の殻外しに困ったので、
何とか裸麦を入手したいと思っていたのですが、
なかなか分けていただけるところがなくてね。

これも根気強く、ない、ない、と言っていたら、
そのうち向こうからやって来るんでしょうね。

欲して、貪らず、黙して、一人ごちるのが、わらしべの秘訣かもしれません。
ならないものも、やがて時が満ちればなるようになる。

 
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あんずに黒っち。

2009年11月 4日

鏡山さんに会いに

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九州にでかける用事があって、
そうか福岡なら、鏡山さんの畑が近いかもしれない、と思って調べたら、
博多から1時間程度。

お電話をしたら快諾していただいたので、会いにいくことにしました。
鏡山さんといえば、あの「自然農・栽培の手引き」の著者の鏡山悦子さん。

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福岡から都市高速で1時間ほど走った二丈町一貴山の山裾に、
鏡山さんの素敵な田圃と畑が広がっていました。
もともと棚田だったところで、山からの小川が脇を流れている素敵なところでした。

 
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これが20数年耕さず、草や虫を敵とせず、肥料農薬を必要としなかった畑です。
確かに、そこには草々の屍が堆積していった層になっています。
それがふかふかになって、土の表面を覆っているのでした。

土が裸じゃないので、湿度も適度に保たれていて、柔らかい。
いかにも滋養豊かな地力を感じさせる畝です。


 
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インゲンとトマトを同居させている支柱。
背の低い柔らかい草に混じって、にんじんも成っています。


 
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いのしし柵のそばの畝。
空芯菜が植えられています。
溝ソバがたくさん生えていますが、
さすがにここはちょっと草を刈ってあげた方がいいようです。
でも、なかなか手が回らないのですね。

「草をいつ、どれぐらい刈ってあげればいいですか」って聞いたら、
「それが一番肝心で、その絶妙な関わり方がおもしろいのだ」という。
畑の状態や野菜の生育状況を観察しながら、
こまめに畑とつきあうなかで、その場にあった刈り具合が見えてくる。
それを楽しめるようになればいい。

同じ畑でも、構う人によってかなり違いが出てくるようです。
人の所為にせず、自分で最初から最後まで見届けたいので、
鏡山さんのところでは、夫婦でも畝を変えているのだそうです。

同じ種や苗を植えても、畑の状態によって生育状況が変わる。
同じ畑でも、関わる人の構い具合によって、土も野菜の出来具合も変わる。
もちろん、毎年の天候によっても、まったく変わってしまう。

農業というのは、きわめて個人的な行為なんだなぁ、と思います。
土や野菜の生命と対峙する、静かな自己表現のカタチです。
声を荒げて主張することなく、努めて誰かに認めてもらう必要もない。

川口さんはいいました。

「・・・言ったら言った分だけ対立し、争いともなってエネルギーがなくなるし、
大切な時間も無くなっていく。
そんなこと一切言わないで田圃にいきますのやわ。」

その気持ちがとてもよくわかります。

 
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鏡山さんの畑の帰りの道には大きな仁王門があり、
その隣に、もっと大きなクスノキがありました。
おおきなクスノキの、高いところの枝と葉が、さわさわと風に揺られておりました。

 


つまり、可能な限り自然の力に委ねるわけです。
だから、どういう状態の土からスタートするのかというのが、
そこの野菜の生育状況に大きく影響するのだということがわかってきました。

住宅地跡の真砂土をまいたところには、最初は草一本も生えない。
それでも何年かするとどこからか飛んできた種が根付いて草が茂ってくる。
それが成長して花が咲き、そこに虫も集まってくる。

それが朽ちて層を成すようになると、
地中の微生物や地上の虫たちの糞や亡骸が、さらに豊かな土を作っていく。
そういうことです。

目先の考えだけで肥料をたくさん撒いたり、農薬をかけたりして、
立派な野菜を促成栽培できたとしても、
そうした行為は、やがて地中に肥毒層を作り出したりすることになる。

そうではなくて、ただ自然にまかせると、
どこにも悪影響を及ぼさず、最短で最良の土ができあがる。
本当は、人はそれを手助けする最小限の手間をかければいいだけなのです。
しかし、それがなかなかできないんですよね。

放任ではなくて、栽培だから、
野菜が草に負けないように、絶妙なタイミングで草を刈ってあげる。
野菜が気持ちよく育つように、こまめに細心の心配りをする。
それでも、決して草を絶やすことなく、上手く共存させる。
その関わり加減がなかなか難しい。


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これはウチで採れたサツマイモと間引きニンジン、トマト。
今、5箇所の畑があるので、同じ種や苗を植えてみているのです。
これが、畑によって、また畝によって、見事に育ち方が違ってくるんですね。

草の処し方も、確かにこれまではかなり適当でした。

つまり、宿根草なんかは根を探って掘り起こしたり、
サツマイモの収穫時には、ほとんど畝を全部掘り返してみたり、
種を植えるために、ついつい深く耕したり、
長く伸びた雑草は、気がつくと抜いてしまったりしていたのだけれど。

そんな風に、できるだけ自然のままに放置するというのは、
かなりの努力が必要なのだけれど。
これを徹底しないと、結局土がいい状態になるのも遅らせてしまうのです。
だから、最初が肝心なんですね。

最初、畝を立てたら、とにかく余計なことはしない。
極端に悪い状態からスタートするなら、とにかく余計なことをしないで、
ただただ草をたくさん生やすのが一番いいみたいです。


永年、生きてきて、余計なことばかりやってきて、
結局、何もしないのが一番いいんだということがわかったりするのだから、
人生はなかなかおもしろいものです。