川口さん、ダイコンの種を降ろす。
先日の土日に、川口由一さんの実習田に行ってきました。
日曜日には200人ものギャラリーがいることにも驚きましたが、
それほどに、自然農に関心を持つ人が増えてきたということなのでしょう。
みなさん、長靴に鋸鎌を持参しての参加です。
本では読んでましたが、
ダイコンの種の降ろし方も、実際に見ると、
そのダイナミックさに驚かされます。
夏草がひざほどに生い茂っている畝の上に、
まだサヤのついたダイコンの種子を
手でほぐしながら、いきなりバラバラと蒔いてしまいます。
それからおもむろに鋸鎌で草を刈って行きます。
それも根こそぎじゃなくて、土から5cmほど上のところを。
そして刈った草はそこに寝かせる。
種を蒔いてから、草を刈ることで、種は自然に土の上に落ちていく。
極めて合理的ではあります。
寝かせた草が適度な水分を保ち、
着地したダイコンは、それだけで芽が出るのだそうです。
こちらは同じダイコンでも、条蒔きの直線植え。
鍬幅ほど、表面の土を斜めに削り取り、鍬の角度で細い溝をつけていく。
そこに、一粒ずつ丁寧にダイコンの種を降ろしていく。
その他にも、あらかじめ刈った草の、
種を降ろすところだけ鋸鎌で土まで裂いていって、
そこに、一粒ずつダイコンの種を降ろしていくというやり方も見せてくれました。
どのやり方でも、成長にはさして差がないのだとのこと。
大胆かつ細心に。
土の整え方や種の降ろし方などは、実に細やかで心配りがありました。
こちらは稲。
自然農の稲は6月植えの11月刈り取りぐらいで、
一般的な稲作からすればかなり遅い。
それは麦との二期作との関係かと思っていましたが、
「気候に合わせて」とのこと。
つまり、慣行農法の方が人間の都合に合わせて作られるので、
早すぎるのだということです。
驚いたのは、川口さんのところでは、
苗は全て1本植えなのです。
それで、これだけの分けつがあるというのがすごいことです。
人は多く取ろうとして、
不安にかられて3本、4本、5本とまとめて植える。
それでも結局、収量は1本植えとさして変わらなかったりする。
「恐れずに足る事を知れ」、ということでしょうか。
稲が、根のところから力強くビーンと立っているのが特徴です。
条間が40cm、株間は30cmほど。
ゆったりとした空間で、1本1本が力強く育っています。
今回は、実際の田や畑の様子を見て、
川口さんに、直にいろいろと聞くことができて、とてもよかったです。
よく観察して、そこの生命の巡りから、多くのことを学ぶ。
そういうことです。
ウチの田圃も、
今年は麦を植えずに、来年の田植えに備えることにします。
全ての溝を掘った後は、
いったん田に水を引いて、土と草の様子を見ます。