鶏さん、ありがとう。
ついに、その日がやってきました。
にわとりというよりもチキン、鶏肉というものを、
僕たちは普段、きれいに切り分けられてパックに入ったものしか見ていない。
本当は、さっきまで生きてエサを食べていた鶏なのに、
誰かが殺して血を流して、それが解体されてきれいにパック詰めされているのだ。
その、命を食べるという行為を「自分の目で確認したい」。
そう言い出した人の話がきっかけになって、
ついにその日が実現したのでした。
もうあまり卵を産まなくなった鶏を、あらかじめ何羽かもらってきて、
その中から4羽をしめることにした。
生きた命ですから、見世物じゃありません。
ベテランの猟師さんの指導をいただいて行う、厳粛な行為です。
ナイフで首を切るのが一番いいようです。
足と羽を縛ってナイフを入れ、しばらくすると動かなくなるので、
そのまま吊るして血を出してしまう。
それから、熱湯をくぐらせて、羽をむしる。
そうして、いよいよ解体。
お腹を裂いて、内臓の食べられるところをより分ける。
玉ひも、砂ずり、ハツ、レバー、
足のももと手羽をはずして、肉を削ぎ、ガラだけを残す。
そうして、4羽をそれぞれ切り分けました。
老鶏の肉は相当硬いということなので、
ダッチオーブンで蒸すことにしました。
モツはタマネギやしょうがやにんにくを入れて甘辛煮に。
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ささみは小さく切って、ごぼう・人参・あげを入れて炊き込みご飯に。
それと薄く削ぎ切りにして、蒸し鶏のサラダに。
もも肉と手羽は、塩・コショーで焼き鳥に。
鶏ガラはスープにして、ラーメンに。
これが絶妙にうまい。
うまい、うまい、と大評判。
「ラーメン屋をしたら、絶対食べに来る!」という人も。
焼き鳥は、さすがに硬くてアゴの筋肉が鍛えられましたが、
どれも結構おいしくて、なかなかのものでした。
お腹を開くと、ほとんど黄身と白身になりかけているものがあったり、
まさに産み出す直前の大きな卵が、そのまま出てきたり。
それは翌日、卵かけご飯にしておいしくいただきました。
鶏さん、ありがとう。
たいへん勉強になりました。
これからもどうぞよろしく。