宅野を売り渡していいのか。
宅野にゴミ処分場。
そんな降って湧いたような話も、裏側ではかなり前から着々と
手が打たれていたようです。
知らぬは一般住民ばかりなり。
市側と漁協の理事を兼務する地元市議との間にはいったいど
んな話があったのか。
常識で考えれば、地元住民の意見を真っ先に問い、計画に異
議を唱えるはずの地元出身の市議が、宅野を最終候補地とす
る候補地選定委員会において、「決定に従いがんばります。」
との発言。
一般住民を差し置いた、漁業関係者だけの説明会と施設見学
ツアーでは、説明後に「この件をよろしく頼む」と、市議からの直
接の要請があったという。
先日の説明会でも、会場の入り口には市議がにらみを聞かせ、
会場の最前列には、賛成を唱える漁師が、そして最後列には
地元の建設関係者が陣取り、中には地元の市職員が座る。
それだけのことでね。
地元の一般住民は、何か言いたいことがあったとしても、
哀しいかな、口に出せなくなるんですよ。
都会にいると、靴を履き潰すことなんてほとんどないけれど、
こっちではね。
数ヶ月で、履き潰しちゃうんです。
「ありがとう。靴さん、よく働いてくれました。」
いや、漁師さんの気持ちもわからなくはないんです。
宅野の漁師、わずか18人。60歳以上が8割を越します。
つまり、ほとんどの人はもう何年かで船を手放すことになる。
跡継ぎもいない。
昨今は魚も取れなくなるし、燃料代はどんどん上がる。
漁に出ないと仕事にならないが、漁に出ても足が出てしまう。
そんなに先も長くないし、
もし海に影響が出れば漁業補償の話もある。
安全な施設なら何も問題ないだろう。
そう思うのも、わからないではない。
でも、そんな目先の判断で、
この宅野の豊かな自然と素晴らしい生活環境を
本当に売り渡してもいいのか。
一度、なくした自然環境は戻ってこないのです。
ごく一部の利権を優先する人たちの意思で、
この宅野が売り渡されるのかと思うと、本当にたまらない。
そのなかにも、古くから宅野に住む住民がいる。
それを思うと、本当に情けなくなるのです。