こっちに来てからずっと乗り回していた愛車を手放すことにした。
知り合いから10万円で譲ってもらったスターレット。
レンタカーにも登録されていたスターレット。
教習所のビデオでしか見たことがない、恐ろしい「バースト」を起こしたスターレット。
友だちと話しながら走っていたのだけれど、
急に眠たくなって目を閉じたら自動操縦になったスターレット。
そうしたら、左側のボディをガードレールに擦りそうになって、
助手席の友だちが慌ててハンドルを掴んだスターレット。
天気の良い日に一人で走っていたのだけれど、ついつい気持ちが良くなって、
ちょっと目を閉じたら自動操縦になったスターレット。
気がついたら反対車線を走っていて、
正面から突っ込んでくる対向車が慌てて反対車線によけたスターレット。
・・・さすがに、あの時は死ぬかと思った、スターレット。
それからは、運転する時にはちゃんと目を開けておくことにした。
切り出した長い竹を積んだり、重い耐火煉瓦を積んだり、
引っ越し荷物を満載にしたり、大量の不燃ごみを運んだり、
まるで軽トラのような扱いをされたスターレット。
覆面パトにつけられて、あと1kmオーバーで免停でしたね、
とニコニコしながらキップを切られたスターレット。
そんなことにひるまず、
大阪までの中国道を、時速150kmで突っ走ったスターレット。
メーターが10万kmを超えて、ますます快調に走るスターレット。
手放すのは惜しいけれど、
普通車は税金も高いし、そのうえガソリンも天井知らずの勢いだし、
彼女にはこれっぽっちの不満もないのだけれど、
やっぱり手放すことにした。
でも、いいんです。
彼女はこの先、ドバイとかエジプトに行って第二の人生を送るはずです。
今までのことがいい経験になるでしょう。
私はこの人生で、もうドバイとかエジプトに行く機会はないかもしれない。
でもその分、彼女が異国の地で活躍してくれることでしょう。
最初は、廃車にしようと思っていました。
廃車にするには費用がかかる、みたいなことをよく言われます。
でも、いろいろ調べてみると、最近はそのままスクラップにはしないで、
使えるパーツを取ってリサイクルに回すのだそうです。
つまり、リサイクルできる車はパーツ代で買ってもらえる、ということです。
今までなら中古車センターみたいなところで、
「これはちょっと下取りできませんねぇ」、とか足元を見られた車でも、大丈夫。
ちゃんとお金になります。
さらにそれがトヨタ社製だったりすると、輸出という手もあるみたい。
トヨタ車は中近東のバイヤーに大人気。
日本なら廃車寸前の車でも、向こうならまだまだ現役、ブランド車。
それでスターレットは、結局4万5千円でお嫁に行くことになりました。
今まで一緒にいてくれてありがとう。君のおかげで何度も命拾いしたよ。
さようなら、スターレット。元気でね。