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2008年3月 7日

五十猛駅に佇んで

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これから先、そんなことをする機会がまたあるのか、
もうないのかは分からないけれど、
若い頃は一人、行くあてもなく鈍行列車で旅をした。

そんな時、夕暮れあたりに田舎の淋しい無人駅に停車すると、
いつもそんな風に思うのだ。

駅の周りにはひとつの商店もなくて、プラットホームには裸電球。
その笠が風にカタカタと震えている。


その駅も、やがてくる暗闇にすっかりくるまれてしまうだろう。


本当なら、目を閉じてそのまま通り過ぎてしまえばいいのに、
僕は、その駅に降りてしまう。


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どうしてもここに降りなくちゃいけなかった。

こんな何もない、山裾の小さな町に。
そう思うと、堪えきれないほどの寂寞が襲ってくる。


その駅に一人降り立ち、
明かりのもれる家並みを、あてどもなくさまよいながら、
今夜、寝るための宿を探す。

やがてどこだかの古びた民家の二階に転がり込むことになり、
そうして、死ぬまでその町で暮らす。


それでもよかったのだ。
あのまま列車に乗って人のたくさんいる町に着いたとしても、
結局、何も違わないのだ。


夕暮れあたりに、田舎の淋しい無人駅に列車が止まると、
いつもそんなふうに思う。


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いや、五十猛駅がどうというわけではないのだけれど、
無人駅だし、駅前には見事に何もない(笑)。

9号線から標識が出ていて、いつか行ってみようと思っていた。

僕の住む、隣の駅。

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