エンドファイト
何だか、最後の底力みたいな語感ですが、実は全然違って、
植物体内で共生的に生活している真菌や細菌のことです。
endo(within)とphyte(plant)からの造語。
最近、自然農でいうところの「補い」ということについてよく考えます。
慣行農法では、
基本的に何かを植えると、土の中の肥料養分が吸い上げられ、地力がなくなってしまう、
だから栽培には施肥が不可欠である、と考えます。
これが自然農では、
枯れて腐敗した草や根、それに目に見えない微生物群や昆虫・菌類などが土の中で
死滅・再生を繰り返して循環するため、
施肥をせずとも、地力は「自然に」ゼロバランスを保とうとする、という考えです。
外部から肥料分を与えなくとも、
植物は土中から「エンドファイト」を取り込んで共存共栄している、
そういうことが科学的にも解明されるようになってきました。
自然の土中には微生物が大気中の窒素を固定するような環境が
あらかじめ備わっています。
土中には想像を超える大量の微生物( 雑草が生えるような土壌には、
4000㎥中におよそ2トン!) が生息しているのだそうです。
そうして、何か植物が植えられると、それに対して共存する状態を作り出すような
特定物質が出されたり、逆に植物の根から仮眠状態の微生物を揺り起こす物質が
出されたりしている、ということがわかってきました。
大豆根粒菌のことはよく知られていますが、
土中の微生物が作り出す窒素量は、
これを自然に任せた場合には、慣行栽培の化学肥料がまかれた畑に比べると、
およそ3 倍という高い値を示すのだそうです。
だからね、
そういうことを全く無視して、窒素・リン・カリ等の化成肥料や、
除草剤、殺虫剤、消毒剤なんかをガンガン投入しちゃうと、
そりゃ、いい時はいいだろうけど、
土だっていずれ機能不全を起こさないわけがないだろうと思います。
しかしまぁ、
自然農といって、できるだけ自然に任せて何もしないわけですが、
かといって、自分の食べる野菜ぐらいはきちんと収穫したい。
そこで、どう手助けするかというのが自然農のキモだろうと思います。
それも、EMとか外部から微生物を持ち込むんじゃなくて、
収穫したい野菜が、それなりに収穫できるように、
そこの土中の微生物群がより働きやすい環境を作り出してあげないといけない。
外部から、その場に野菜を持ち込むわけだから、
やっぱり、そこは、人為的に、
その野菜たちが微生物群と共存・共栄できる環境を、
ちゃんと気配りして、整えてあげないといけないと思うのです。
全てが同じ環境の土なんてひとつもないわけだから、
同じ野菜を植えるにしても、その圃場に応じた手助けのあり方は全て異なります。
それをうまく判断できる観察力と対応力が求められます。
「肥料」ではなく、土中の自然サイクルを過不足なく手助けするための「補い」。
そのあり方を考えています。